パンツあたためますか? について

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石山雄規先生の「パンツあたためますか?」の感想です。

 

石山先生は滝本竜彦先生の大ファンで、その熱い思いを授賞式の際に語ってくださったことを思い出します。

そんな石山先生のことだから、滝本竜彦チックな物語を書くんだろう。ぼくはそう思ってたんです。

しかし大方のポスト○○みたいな表現される作家やバンド。やはり本家を超えられないのが現実です。だから石山先生の作品は、劣化版滝本竜彦のような……。

 

それは見事に裏切られました。

 

「パンツあたためますか?」は、それはもうすごい「NHKにようこそ!」リスペクトの作品なんですよ。

ヒロインの病みっぷりとか口調とか、主人公の不甲斐なさとか境遇とか。独白の雰囲気とか。

しかし、これは角川スニーカー文庫ライトノベルだ。

そのリスペクトしている部分を全て上手くエンターテイメントに落とし込んでいる。イラストがついてポップになるように。誰もが手に取りやすいように。感情移入をしやすいように、と。

 

例えばヒロイン1人に焦点を当てすぎてないところはこの作品の特徴。他出てくるキャラクターみんな可愛い。そしてみんな主人公と一悶着している。甘酸っぱい。

 

勿論、メインヒロインの力の入れ方は凄くいいんですよ。かわいい。真央可愛いよ真央でずっと読んでられます。でもそんな彼女をうっとうしく思う主人公の気持ちもわかる。わかる。わかる。って言ってたら読み終わってます。

 

ラストもすごくいいんですよね。いやー、これで普通のラストだったらな〜って思ってたら、「よくやったぞ石山雄規!!!」と叫びたくなるような終わり方です。結末はお楽しみにということで。

 

例えば今「NHKにようこそ!」が出れば売れるのか、この2017年の少年少女に届くのか? と聞かれるとちょっと微妙なんじゃないかな?って思います。石山くんみたいな変人にしか届きません。ちょっと刺激が強すぎるんです。

でも「パンツ」は届くと思うんです。

何が届くのかは読まないとわかりません。だって読んで持つ印象なんて人それぞれですからね。

でもぼくはそれが届いて欲しいなと思うんです。

この作品が公に出ること、嬉しく思います。滝本竜彦に頭ガツンと殴られたメンバーのひとりとして!