遠い国からミサイルが来るそうだ
クリームソーダを飲んだ。初めて。
一昨日はなんか大学疲れたなあと思ってたら、いつものサフレ(サクッとお茶を飲むフレンズ)と「ラドリオ」でお茶をしようとなった。19時のことである。
「ラドリオ」は日本で初めてウインナーコーヒーを提供したということで神保町ではかなり有名な喫茶店である。古いシャンソンが店内にはずっと流れていて、シックな赤いソファとかアンティーク調の薄暗い照明とか見ていると、ベタな表現だけどタイムスリップしたみたいな気分になる。でも店内ではiPadをいじってる人がいる。ぼくもiPhoneでInstagramを起動している。タイムスリップというわけではないらしい。
すごく疲れていたのでコーヒーというよりもなんだか甘くてさっぱりしたものが飲みたいと思った。メニューを見ていたら「クリームソーダ」の文字がある。そういえば最近ずっとクリームソーダが飲みたかった気がする。雨が降ってて寒かったけど、ぼくはクリームソーダを注文した。可愛い店員さんの前だから、かっこつけて「クリームソーダのカクテル」なんて洒落たものにしようかなとちょっと迷ったけど。
さて。多分ぼくはクリームソーダを初めて飲む。
ぼくはクリームソーダの飲み方を知らない。
「どうやって飲めばええんかな」
「以前、アイスクリームをもう全部溶かしてから飲んでる人を見たよ」
「正解がわからん」
「好きに飲めばいいんじゃないですか?」
目の前の彼はよく「好きにしたらいいんじゃない?」という気がする。多分ぼくがいつもしょーもないことで悩んでるからだろう。ぼくも多分「好きにしたらいいんじゃない?」と思っている。
とりあえずアイスをシャクシャク食べたりソーダを飲んだりしてみた。美味い。想像通りの味がすると思ってたら、想像以上に美味かった。まさかクリームとソーダが合わさるとこんな味になるとは。もちろん、さくらんぼは最後に残した。
クリームソーダの色って不思議な色だと思う。
けっこーキツイ緑色なのに人工的な感じがあんまりしない。例えるならほら、宝石なんかが一番だと思う。お店のオレンジ色の電球の光に反射してキラキラと輝いている。キラキラ、なんて久しぶりに使ったけど、それが一番的確だ。
「あの子の彼氏がさ」
「そういえばあのオレンジ色のロングスカートが」
「鎌倉は晴れてた?」
「ノースリーブのワンピースが可愛い」
一部分だけ抜粋すると女の子がするような会話を男2人でしていた気がする。
なんだかクリームソーダのキラキラがそうさせたんだと思う。
結局、クリームソーダの飲み方はまだわからない。