23歳のレアチーズケーキ

先日、とうとう23歳になった。

 

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ぼくは常日頃から「23歳はヤバイ、素数やん」と言っていたが、とうとう23歳という割り切れない年齢になってしまった。23歳。素数童貞という言葉の重みを感じたい。

 

23の素数感はかなり高い部類に入ると思う。17の次ぐらいに素数感があるとぼくは思っている。そんな素数感溢れる年齢になって人生を振り返ろうとしたのだけれど、1年遡るごとに「どうしてこうなった!」が積み重なっていき、しまいには崩れてなんか肩が一気に重くなるみたいなことになりそうなのでやめておく。結局何やったって後悔するし何言ったってダメなものはダメなのだ。受け入れるしかない。そう思う。

 

 

しかし23年という人生は長いようで短い。

23年生きてきてもまだわからないことがこの世にはたくさんある。

例えばレアチーズケーキ。

レア、ってなんなんだ。

 

「珍しいチーズケーキなんだよ」

「なんやそれ、けっこー今どこでもあるやん」

「昔は珍しかったんだよ、ほら、だって焼かないんだから」

 

彼女はそう言ってブルーベリージャムをムースの上で伸ばし始めるかもしれないが、それだと少ししっくりこない。ぼくはきっと、うーん、と首を傾げるだろうが、その瞬間を心地よいと思うのだろう。

 

「ステーキで、レアとかミディアムとかあるじゃん?」

「うん。ぼくはミディアムレアが好き」

「それと一緒なんじゃない? レアチーズケーキって生っぽいし」

「でもステーキは火通してるやん。多少は」

「昔は通してたんだよ。多分」

 

そう言って彼女はアイスコーヒーの氷をストローで掻き混ぜようとするかもしれないが、ぼくはやっぱりしっくりこない。でも、またこれか、と思いながらも、そういう彼女が好きなんだなって、また納得するのだろう。

 

 

そういうくだらないことばかり考えてたら23年経っていた。

この23年は、きっと、長い。